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アステカ関連作品~日本の漫画・小説・音楽など

こちらの記事では、アステカを扱う本などをご紹介いたします。
アステカを題材にした漫画や小説を、私の知っている範囲でご紹介します。

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【日本の漫画】
商業誌の漫画でアステカ文明がとりあげられると、「邪神テスカトリポカが現代に復活してヒーローに倒される」みたいな扱いが多い気がします。
ざっと思い出して見ますと、素手でイケニエの心臓を取り出すアステカの神官の力を持った暗殺者が主人公の『ミキストリ 太陽の死神』(巻来功士)とか(作中でテスカトリポカ様が復活します)、『スプリガン』とか『孔雀王』あたりでテスカ様が復活していた記憶があります。
また、名作『ジョジョの奇妙な冒険』の冒頭が、いきなり、アステカの石仮面でした(ファンの方の、「テオティワカンの遺跡に実際にいって、アステカの石仮面をつけて写真をとる」という記事をネット上で読んだことがありますが、最高でした)。
マスクの額の古代アステカの秘宝「アステカの星」が登場する『プロレスの星 アステカイザー』は有名ですが、1996年、週刊少年チャンピオンにて、「無敵マスクマン伝説レボルシオン」(なかがわひろき作)という、アステカ人がスペイン人と戦った時に身につけたという伝説のケツァルコアトルのマスクをつけて戦うプロレスラー漫画…というのを見た記憶があります。
断片的には、仮面のダークヒーロー物『おもかげ幻舞』の1巻にテスカトリポカの仮面ネタがあったり、ホラー少女マンガの『妖獣の門』で、アステカではないですが、ミシュテカにタイムスリップする短編「ミシュテカの呪縛」が載ってました。
名作『サイボーグ009』にも、アステカ編がありました。
『翡翠峡奇譚』(ひすいきょうきたん)(広江礼威)という、ククルカンが出てきて、当然テスカ様もでてくるという漫画もあります(1935年のメキシコで、遺跡からよみがえったククルカン(女の子)と、日本人の男性キャラが、ナチスのおねえさん魔術師らと戦う)。

しかし、やはり、ガチな意味での「アステカ漫画」…。
「アステカ帝国が舞台で、滅亡の歴史流れを扱う」「コルテス、モンテスマ2世、クワウテモク、マリンチェがでてくる」と、いったら、やはり『貴人の大祭』です。


『風霊王外伝 貴人の大祭』あもい潤、角川書店、1992

本編の風霊王は、紀元前10000年、ムー帝国の、神である風の精霊王と人間の王女アライアが、太陽の力を盗もうとしたという濡れ衣をかけられて殺され、人間として20世紀の日本に生まれ変わって…という、時を超え転生する恋人たちを描く少女マンガ作品。
こちらの外伝は、風霊王(かぜおう)とアライアが、生まれ変わって1990年の日本で出会う前に、1519年、滅亡前のメキシコ・アステカ帝国に生まれ、恋に落ちていた…という位置づけの物語です。
私は初めて読んだとき、本編は未読でしたが、プロローグや山場などで、本編の内容がなんとなくわかるので、外伝だけでも楽しめました。

マヤのテワカン族のキアウィトル(=風霊王の生まれ変わり)は、故郷をアステカ帝国に滅ぼされ、捕虜となり、アステカの都へ連行される。彼はそこで、「暗黒の太陽」テスカトリポカ神の化身とみなされ、アステカの女奴隷ショチトル(=ムー帝国の王女アライアの生まれ変わり)と出会い、恋に落ちる。
しかし、時代は、激動のアステカ帝国滅亡前夜………。
スペイン人征服者コルテスが海のかなたからやって来て、キアウィトルとショチトルは、運命の流れに翻弄されます。

皇帝モテクソーマ2世、最後の皇帝クワウテモク、スペイン人征服者コルテス、コルテスに協力し裏切り者として名を残す女性マリンチェなど、史実の人物が登場。アステカ帝国滅亡の戦いの過程がじっくりと描かれます。
とりわけ、マリンチェがとても魅力的に描かれています。「キアウィトルと同じアステカに滅ぼされた部族の出身で、復讐のためにコルテスに愛と忠誠を尽くす」という設定の彼女。アステカとスペイン、二つの文化を親として、現在のメキシコが血と苦しみの果てに産まれたということが、彼女のラストシーンのセリフの中に、思い出されます。
また、捕虜の中から、完璧な美しい若者を一人選び、一年間テスカトリポカ神の化身として大切に扱い、神としての礼儀作法を教え、妻を与え、この世のあらゆる快楽を享受させたのちに生け贄にするというアステカの風習、トシュカトルの祭りのエピソードもしっかり入ります。
何より、主人公の山場のセリフ、「血と屍の上に築かれたものでもこの世界は美しい」は、生贄の風習があろうともアステカを愛する、すべてのアステカファンの心の叫びでしょう…。
巻末には、メキシコ旅行記つき。
アステカの描写については、太陽神ウィツィロポチトリが登場せず、暗黒太陽テスカトリポカになっているなど、フィクションとしてあえて本編での内容に合わせてある部分もあるようですが、基本的には歴史ベースです。
アステカファンにとっては、これを商業誌で…というあたり、奇跡の一冊です。

私が漫研の後輩からこういう作品があると聞いた90年代後半の時点で、すでに普通の本屋さんで入手不可能で、都会に住んでいた弟にまんだらけで探してもらったのですが、2014年7月現在、アマゾンに中古が数点出ていますので、アステカファンは在庫があるのを見たら、早く入手されることをおすすめします(絶版図書といえば、『聖王子ククルカン』なんて、電子書籍サイトで下巻を買ったら、買って半年でサイトがつぶれて読めなくなって、アマゾンで中古を探したら、値段がプレミアついて3万円超えてた、みたいな状況で、泣いたからな…。追記。2015年6月。再びアマゾン見たら、400円台で古本があったので、注文しました)。

できたら、古本ではなく、将来的に、再販か、電子書籍など、望めば誰でも読める形で読まれつづけてほしい名作です。
(追記。2019年9月に新装版出ました!キンドルなどの電子書籍でも読めるらしい。アマゾンなどで「風霊王」で検索してください。上下巻。「貴人の大祭」は下巻に収録)

ところで、この記事で、最初、あらすじで、主人公たちが「現代の日本に生まれ変わり…」と書いてましたが、作品が描かれ、主人公たちが出会う1990年は、すでにもう「現代」ではないんじゃないか…と気づいて愕然として、訂正しました…。
25年近くも前だああぁぁぁ!!(2014年現在)

仁義アルパカ』(全3巻)ぶしやま、小学館、2016
アルパカ(メキシコにはいないんですが、後で理由が明らかになる)の正体はアステカの破壊神…?日本の極道とのモフモフコメディーです。ぶしやまさんの、『よいこの太陽信仰』にも、ウィツィロポチトリさんが登場します(いい人)。

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【小説】
アステカの滅亡を扱う、日本語でよめる歴史小説、といえば、私はこれしか知らないのですが、きっと、英語だと更に多くの作品が読めるのだろうなあ…。

滅びの符合 太陽の帝国アステカの終焉』ジュマーク・ハイウォーター、ベネッセ、1991(日本語版)

スペインによるアステカの滅亡をアステカの視点より描いた歴史小説。
前半の華やかなアステカの繁栄と、後半の、悲惨な破壊と滅亡…。それが敗者アステカの視点で語られるので、読後はもう、泣くしかないのですが、アステカの時代の風を感じるにはたまらん一冊です。
物語は、アステカの敵国トラスカラの出身で、やけどがあって醜く、貧しく、誰からも虐げられた木こり「ナナウツィン」が、アステカのモクテスマ王に出会い、王の代弁者となる(王は神聖なので相手に対して直接話さず、間に人を通すらしい)。
初めて読んだときはアステカの滅亡の描写に暗い気持ちになっていましたが、2015年、十数年ぶりに再読すると、ナナウツィン視点でのモクテスマ王の人物像がけっこうツボでした。
王らしい威厳に満ち、政治的に冷酷にもなれるアステカの王モクテスマ。
しかし、不吉な予言におびえ、1519年、スペイン人征服者コルテスらがやってくると、幼子のように気弱な顔を見せるようになる。やがてスペイン人らによって幽閉され、自国民は戦わないモクテスマ王に愛想をつかして王の弟を王様とし、モクテスマ王には石を投げてくる…、そんな強くて弱い複雑な王をいとおしく見るようになる、ナナウツィンの視点がかなり切ないです。威厳ある王と虐げられた木こり、しかし王は幽閉され、木こりはやがて知性と愛を備えて賢者となり、関係がかわる、あのあたりもいいです。
アステカの繁栄も滅亡も、文章が、美しかったな…。

昔のライトノベルでは、
アステカの赤い突風 太陽の娘たち』(田中文雄、集英社ファンタジー文庫、1992)
……という、現代メキシコが舞台の冒険ファンタジー小説を知っています。
OLの千尋と典子の二人が会社の福引でメキシコ旅行があたってメキシコに行くが、千尋はアステカにタイムスリップ、ケツァルコアトルの化身とみなされてしまう。現代の悪の組織として、テスカトリポカ様を崇拝する宗教団体が出てきます。山場で、典子が、「軍神ポカなんとかなんて、単なるスケベ親父じゃない!」というタンカを切ります。永遠の美青年の神をつかまえて、「スケベ」はともかく「親父」は違うでしょう…。

また、同じくライトノベルで、
FIGHTER』(吉田直、角川スニーカー文庫、1998)
こちらは、死んだ新撰組が甦って戦うSFですが(沖田総司がいいキャラです)、悪の金髪メガネ黒スーツ美女テスカトリポカが活躍します。
こんな感じ(2006年に描いたらしい一番古いファンアート)。

時は明治10年。謎の悪の美女《テスカトリポカ》は世を混乱させようと企み、死んだ新撰組の隊士を、《死の騎士》として甦がえらせる。
沖田総司は、他の隊士とともに甦り、記憶を無くして操られていたが、英国貴族の少女ミリアムと再会した事がきっかけで記憶を取り戻し、ミリアムをめぐって、彼女を守るために、同じく《死の騎士》として甦った土方歳三と宿命の対決をする……。SFアクション小説。
「なんで、新撰組とテスカトリポカ?(←アステカの闇の神の名前です)」と思いつつ読みましたが……。良かった…。とにかく、沖田総司が良かったです。強くて、哀しいほど優しくて、壮絶でせつない…。優しい笑顔と口調、背負う哀しみ。過去のトラウマのエピソードも良し。「僕は死人だから」とヒロインに言うシーンや、明治政府の人間に、化け物よばわりされるシーン…。ラストの方のシーンなんて、泣くぜ、もう…。
英国貴族のヒロイン、ミリアムもお転婆で、タフです。ヒロインにしては過酷な負傷をしますが、それでもへこたれません。言動も気持ちがいいです(笑えた)。
ストーリーは、「これってクライマックス?」と何度か勘違いしてしまったほど、派手な山場が多いです。
当初、グーグルで「テスカトリポカ」という単語で検索しているときにこの本を発見して、「アステカ神話テスカトリポカ」コミュで、ネタになるかな…などという不純な動機で注文して読んだのですが(こんな読み方したのは私ぐらいだろう…)、面白かった…。
ちなみに、作品の中には、《テスカトリポカ》の敵で、《ケツァルコアトル》も登場します。これまたアステカの神様の名前ですが、詳しい正体は読んでのお楽しみ。主人公たちの戦う裏で、かなりスケールのでっかい戦いが、物語の背景にあります。
個人的には、「燃えよ剣」より萌えました。

そして、2021年に、ヤバイ小説が出て、直木賞をとったので、追記します。
テスカトリポカ』(佐藤究、2021)
テスカトリポカ神の信者にして麻薬売買するメキシコ人が、日本に流れ着いて、仲間を集めて、子供の心臓の臓器売買をする話。犯罪小説です。
現代闇社会と、アステカの生贄の祭りの描写が、すげえキッツイ…。
しかしながら、これが、思いのほか読みやすくて一気読みできるのです。
一気読みするから、すごい勢いで、暴力・犯罪・グロの、エグイ描写が脳になだれ込む。脳がぐるぐるする。でも、ラストはいいシーンで終わるので、読後感はそこまで陰鬱にならないです。
正直、タイトルは「テスカトリポカ」だけど、現代が舞台だし、どこまでテスカトリポカ様要素がある小説なんだ…自分がテスカトリポカ様ファンというだけで、普段は読まない、こんな物騒な小説を読むのは勇気がいるなあ…、あらすじだけでおっかねえ…と、手に取る決心がつくまで、発売から3か月ほどかかりました。
しかし、読んでみると、とりわけ後半部分、まさに、テスカトリポカ様小説であったよ…!!
読んでよかった。物騒だけど面白かったです。発売元の角川に面白かったですとハガキに感想書いて送るくらいには面白かったです。
それにしても、「テスカトリポカ」直木賞受賞のニュースをお茶の間のテレビで見た時、そばにいた親兄弟の反応が「テスカトリポカ」が何の単語がさっぱりわからない、という反応だったのは、少しショックだったな…。
私は20年以上テスカトリポカ神の絵や漫画を描いたり、サイト(これです)を運営したり、テスカ様のTシャツを着たり、部屋に絵を飾ったりしてますが、あらためて思うに、私の周囲の人は誰も私がテスカトリポカ様を好きだと知らない。それどころか、テスカトリポカが何の単語なのかも知らない。知っているのは、ネットでこれを読んでいるみなさんだけです。

※以下、ネタバレのメモ※
※ネタバレの部分は白文字で書いたので、マウスで範囲指定したら読めます。

◆テスカ様の鏡の正体が「日食」であるという部分について。約翰さまにお聞きしたのですが、当時の絵文書の「日食」の記述に、それがテスカトリポカ様の鏡という描写はないそうで、たぶん、小説オリジナルです。今後、ネット上に、テスカトリポカ神の鏡の正体が「日食」という記述があらわれたら、この小説がきっかけです(それ以前には、アステカ神話の本などで、見かけてないです。漫画「貴人の大祭」に、暗黒太陽神という単語や、それっぽい絵のコマは見かけましたが。あとは海外の短い動画で、「日食」でジャガーが出てきて終わるとジャガーが消えるRobin George氏作の「Tezcatlipoca」という動画を見たことがあるかな…)。
◆物語が進むにつれ、ある登場人物に、名前の「土」とか「霜」に始まり、ナイフとか、入れ墨で体が黒っぽく…とか、足の怪我とか、テスカ様要素…が、少しずつ加えられていった結果の、山場のあのシーンが、もう、ウオオオオオォ!!!\(∂∀∂)/ でしたね…。

(ネタバレここまで)

他には…。
アステカの少女』(畑山博、1977)児童文学。
世界幻想文学大系 第37巻 第三の魔弾』1915年発表、オーストリアの作家レオ・ペルッツの幻想歴史小説。

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【CD】
クスコの『インカ幻想』(邦題)が、タイトルがインカなのに、「モンテスマ王の悲劇」「文化神ケツァルコアトル」「マヤ神殿」「トゥーラ」など、中央アメリカっぽい曲がはいっています。インカ要素はゼロです。
あと、本なのですが、『月のうさぎ』(アルフレド・ロペス=アウスティン、文化科学高等研究院、1993)に、付録に8センチCDがついていて、「アステカの言語ナワトル語によるアステカのなぞなぞと現代詩の朗読」「アステカやマヤの楽器を使った現代音楽2曲」が入っていて、面白かったです。

そして、ユーチューブで見つけたアステカ系の曲を…。
ジェイムズ・バーンズ「アステカの情景」Escenas de los Aztecas
https://www.youtube.com/watch?v=YdQ_Ka2jXhg



アステカの詩を扱った本、青土社の『アステカのうた』。その訳詩のいくつかが、合唱曲に。
春の歌 - 長谷部雅彦 - 混声合唱組曲「アステカのうた」
https://www.youtube.com/watch?v=6AHHSXFTypk



こちらはアステカ時代の大御所詩人テスココ王ネサワルコヨトルの名詩。これは素敵。
「絵画(え)の家で歌が始まる、歌の稽古だ、花が撒かれる、歌が高まる」(『アステカのうた』より)
2014年現在、アマゾンでCDが買えたので、買っちゃいましたよ…。

また、フェレーロの「ラ・ヌエバ・エスパーニャ」というコルテスによるアステカ滅亡を扱ったクラシック系の音楽を、アマゾンで買いました(2016年)。タイトルで検索してみてくださいませ。

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