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アステカ関連本

こちらの記事では、アステカを扱う本などをご紹介いたします。
ただし、勉強に役立つ本ではなく、一般書・漫画・小説など、サブカルチャー的なものがメインです。
とはいえ、私が知っているのは古い作品が中心ですので、手に入れようと思っても絶版で、アマゾンで中古を買うしかないかもしれません…。アマゾンで中古となると、クレジットカードで購入となるわけですが、自分の場合はイイトシしてクレジットカードをもってないので、プリベイド式の使いきりクレジットカード「ブイプリカ」をコンビニで購入して買っています。

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【入門書】
アステカ入門のための、おすすめ本を、ひとつだけあげるとすると、こちらの本です。
ヘタに図書館で初版が古い本を手にとってしまうと、古い説が載っていますので、2010年出版の、イラスト満載のこちらをまず読まれて、こちらの本にのっている参考文献一覧の本を読んでいかれるのがいいかも…?

『古代マヤ・アステカ不可思議大全』芝崎みゆき、草思社、2010

マヤ・アステカ不可思議大全
1997年~2000年ごろ、私がアステカ漫画「煙立つ鏡」を描くにあたり、日本語で読める本は探しに探したのですが、出版数が少なく、かつ、初版が古く、結局、「専門書となると英語が読めないとどうしようもない」というのが結論でした…。
それから丸10年アステカから離れていて、2011年9月より再びイラストを描くようになったのですが、その前に2010年に出た芝崎みゆきさんの本を読みまして、それまで読んできた本の内容が色々と時代遅れになっていると知って、かなり衝撃を受けました。
一番衝撃的だったのがケツァルコアトルでしょうか…。
「ケツァルコアトルは、生け贄に反対した善神で、テスカトリポカ様が悪の神で、善と悪とで対決している」……というイメージだと思ったのに、どうも、ケツァルコアトルは元々は普通に「生け贄いただきます」の神だったらしい…。確かに、神話上で生け贄したりしてますしね…。
ケツァルコアトルがどんどん美化されていく一方で、アステカの王権まで象徴した最高神テスカトリポカ様は、すっかり邪神のイメージになってしまわれたようです。
あと、「アステカを征服にきたスペイン人を、アステカ人はケツァルコアトルの再来と勘違いした」という有名な話すら、今はもう、あやしいそうで…。
歳月が過ぎるにつれ、また色々と変わっていきそうです。

【神話関係】
神話関係の本は、アステカ神話物語イラスト2の記事に、紹介リンクがありますので、そちらをご覧ください。

【歴史関係】
『図説アステカ文明』(リチャード・F.タウンゼント、創元社、2004)
厚めの概説書。アステカの成立と滅亡の歴史(それぞれの王の治世など)、信仰と宗教、アステカ人の人生のサイクル(誕生から結婚)、様々な身分の紹介(農業、職人、商人、戦士による戦争のようすや、王の即位など)。
『アステカ文明の謎 いけにえの祭り』(高山智博、講談社現代新書、1979)
新書の概説書。アステカの歴史(発展と滅亡)、アステカ人の人生サイクル、アステカの一年の祭りをサアグンの『ヌエバ・エスパーニャ全史』(フィレンツェ絵文書、Florentine Codex)第2書をベースに、くわしく扱う。

【アステカの詩】
『古代のメキシコ人』(ミレル・レオン・ポルティーヤ、早稲田大学出版部、1985)
アステカの詩や歌から、アステカの歴史や精神を解説する古典的な名著であるらしい。詩がたくさん楽しめます。アステカの歴代王をささえた副王トラカエレルがかっこいい。残念ながら絶版で、県内の図書館にもなかったので、アマゾンで古本を入手したら、さだまさしの顔写真とコメントつきの帯がついた本でうれしかったです(翻訳者の友人らしい)。
『アステカのうた』(野中雅代、青土社、1996)
アステカの詩の日本語訳がのった本。詩人王として名高いテスココ王ネサワルコヨトルの詩がまとまって読めて幸せ。

【アステカ滅亡関係】
『アステカ帝国滅亡記』(法政大学出版局、1994)
フィレンツェ絵文書の第12書、トラテロルコ編年史、オーバンの絵文書、ラミレスの絵文書、トラスカラ史、ヌエバ・エスパーニャのインディアス史および大陸付属諸島史(ディエゴ・ドゥラン)。先住民視点の征服の記録の数々。
なんですが…。先住民と言っても、フィレンツェ絵文書などは、アステカの支配階級のメシカ族の都市テノチティトランの視点ではなくて、かつてテノチティトランに征服されたトラテロルコの視点なので、「テノチティトランの戦士たちは腰抜けで、我々トラテロルコの戦士たちはよく戦った」という先住民どうしの確執からの脚色がすごいし、トラスカラ史のトラスカラは、スペイン側について戦った部族。正直、スペイン人征服者のカスティリョの「メキシコ征服記」のほうが、「こんな強い相手に我々は勝った」というアピールのせいか、アステカ戦士が強そうだったな…。スペイン側の記録も、敗者である先住民側の記録も、やはりそれぞれの考えが入るようです。

『コルテス報告書簡』(コルテス、法政大学出版局、2015)
アステカを征服したスペイン征服者コルテスが、王に送った書簡。征服の資料。
「報告書簡」、岩波書店の大航海時代叢書の『征服者と新世界』に収録されていましたが、「コルテス報告書簡』のタイトルで法政大学出版局から出ました。大航海時代叢書のに比べて、滅亡後の書簡も収録されてます。

『メキシコ征服記1ー3巻』(ベルナール・ディアース・デル・カスティーリョ、岩波書店)
コルテスの征服に兵士として参加したカスティーリョの回想記。以下、読んだ感想メモです(ちなみに絶版で、県内の図書館にもなかったので、アマゾンで古本で入手です)。
【1巻の感想】
アステカを征服したコルテスに付き従った兵士の手記。知らない土地で、先住民とバトルになったり、ものすごく苦労したようすが伝わる。
行く先々で、なぜか必ずとっていいほど、イケニエの光景を目にして、キリストの教えをとき、生贄をして人肉を食うのはダメ、略奪はダメ、男色はダメ、偶像を拝むのはダメというのを繰り返す。本当に繰り返す。また、そこでの先住民が、アステカ王に虐げられている、とアステカの文句をいう。
アステカ王モクテスマ2世の描写は詳しくて面白かった。けど、そこでも、男色とは無縁だったとかなんでわざわざ書くのだろう。王の暮らしの描写では、王が、一度着た上衣や肌着は4日後でないと着なかった、というのは、けっこう普通な気がする(参考、コルテスの報告書簡、212ページ、「彼は毎回四回、四種類の異なった着物に着替え、どれも新しいものばかりで、同じ着物を二度身に着けることはありませんでした」)。
スペイン人によるチョルーラでの虐殺は、スペイン人に味方した先住民であるトラスカラ族がチョルーラで略奪して住民を捕虜にしたのを我々スペイン人は止めた、みたいな描写つきだった。そしてチョルーラでも生贄になる人間が囚われていてそれを解放したとの記述もつける(のちのテノチティトランの攻防戦でも、地元の反アステカの先住民たちが女子供を虐殺し、我々スペイン人はとめたかった、みたいなのがなかったっけ…。やはり外道なことをしてはならないという意識はあって、自己弁護や言い訳しつつ、のようです)。
しかし、コルテスがすごいしたたかだ…。引き返したいという部下を言いくるめる手腕もすごいし、王都テノチティトランでの立ち回りもすごい。モクテスマ2世を宮殿で軟禁し、自分は自由にしてやりたいが部下が許さないんだといって、「貴公は大切なお方だ」といって王を抱きしめる。うわーゲスい。兵士のカスティーリョの視点から見るコルテス像が、描写に遠慮がなくて、新鮮です。
モクテスマ王は、スペイン人による軟禁の身でありながら、警護にあたるスペイン人は彼を励ましたといい、スペイン人とうちとける描写もあり、コルテスとゲームして、部下のアルバラードがずるをしてコルテスの点を多くつけて、王もスペイン人もみんなで笑う。王は気前よく宝物を振舞う。人質なのに。
でも、モクテスマ王の警護にあたったスペイン兵の一人が、人前で「ある種の音」を平気で出すような男で、その音を聞いたモクテスマ王が無礼とたしなめる話はなんだかほのぼのです。書いているカスティリョは、もしかしたら、モクテスマ王のことけっこう好きなんじゃなかろうか。通訳のマリーナにも好意的だし。
あと、数百人でアステカの都のテノチティトランに乗り込んだ俺たちすごい、その後の立ち回りもすごい、という自慢もばっちりだった。そして、モクテスマ王が軟禁状態のまま、2巻に続きます。2巻のラストで最後の王クアウテモクの降伏、3巻は征服後の話らしい。
【2巻の感想】
コルテスは、黄金をもとめ、金脈を探させる。コルテスによって前に両足切断の刑を受けた男も、金鉱探索のメンバーに入れられ(足は大丈夫なのか)、金を入手。コルテスが、相手を懐柔するためにしたらしい。
国境にいるアステカ兵士がまわりの村で狼藉をして先住民らが迷惑するという話も忘れずに入る。
しかし集めていった金が減っていく。5分の1をスペイン王に、5分の1をコルテスに、残りを分けるはずが、兵士たちに渡る頃には少額に。コルテスは不満タラタラの兵士らを懐柔するのがうまい。こっそり金を与えたりする。兵士である著者も不満で、コルテスを奸智にたけた人間だと本の中でアピール。
スペイン兵の中に、太鼓の皮にトランプの絵を描くものがいて、トランプが作られる。兵士たちの間でトランプでの賭け事が行われ、熱中したようだ。もちろん、それぞれがアステカで手に入れた金(一介の兵士だから、そんなに多くない)をかけるのだ。
著者が、「私は戦争のために、他の国にもいったことがあるが…」と書いてすぐ、(著者はインディアス以外の土地で戦った経験はない)というツッコミの注が付いているのに噴いた。うん、だから、一次資料を研究がされていない状態で読んで、うのみにするのはダメなんだろうな…。
コルテスの留守中にコルテスの部下がアステカで虐殺をし、怒ったアステカ戦士たちが蜂起。モクテスマ王はコルテスに頼まれ戦士たちをなだめようとする。戦士たちは攻撃をいったん止め、王の話を聞く。そして、戦士たちは涙ながらに、モクテスマ王の弟を新しい王にしたと告げ、陛下の事は神に祈っている、この場はお許しくださいという。戦士たちは、ちゃんと王の話を聞いているし、モクテスマ王に涙ながらにこたえるアステカ人たちの言葉も、王への敬意があるように思う。
攻撃が再開され、スペイン兵がモクテスマ王を盾で守るのが遅れたために、モクテスマ王は、石と矢に当たり、その傷が元で死んだ、という。コルテスやスペイン兵たちみんな、涙ながらに死を悼んだという。
モクテスマは死後、遺体はアステカ側に渡された。アステカ戦士は、モクテスマ王の死体をみて、「陛下のご無念、晴らしてくれるわ!」といきり立ったとある。『フィレンツェ絵文書』第12書のように、火葬されているモクテスマ王に向かって、「王は大悪党だった」とののしるアステカ人など出てこない。先住民側の視点の記録である『フィレンツェ絵文書』の征服の描写が、アステカ王が治めるテノチティトランに複雑な思いを抱くトラテロルコ側の記録であるために、スペイン側の記録にはないのに、先住民側の記録でモクテスマ王を貶めるシーンが入るというのは複雑です。
その後、いわゆる「悲しき夜」。アステカ人の猛攻撃が始まり、コルテスたちは必死で退却し、多くが犠牲になる。アステカ戦士による、勇ましいののしりの言葉や戦いのすごさが描写され、読みごたえがある。スペイン人から奪った剣を槍に着けて戦うアステカ戦士がいたそうで、確かにいい武器だろう。
アステカから逃げる際に、欲張ってたくさん金をもっていたせいで、スペイン兵らが、湖に落ちても泳げずにおぼれ死んだ話は有名ですが、兵士であった著者にいわせると、我々コルテス側の兵士でなくて、新しく加わったナルバーエス側の兵士らだった、んだそうだ。本当かなあ。
アステカ人がコルテスらを攻撃して追い出した「悲しき夜」のあと、味方の先住民がいるトラスカラで大勢を立て直すコルテス。アステカ人の間で天然痘が蔓延して人口が激減。テノチティトランの包囲戦のあと、アステカ最後の王クアウテモクの降伏となる。
コルテスはさんざん、アステカ最後の王クアウテモックに降伏を呼びかける。すさまじい攻防戦が繰り広げられ、スペイン人が大砲や銃で一方的に楽に勝った戦いなどではなかったもよう(著者が苦労しましたアピール)。都の食料が不足したさい、降伏するか否か、クアウテモクは臣下たちに意見を聞く。
臣下たちは王に言う。スペイン人に贈り物をしたモクテスマ王はどうなったか。他の方々はどうなったか。近隣の民は奴隷とされ、焼印を押された。我らを奴隷としてさいなむ者の手に落ちるより、一同、この戦で戦って果てるは本望と。クアウテモク王は、最後まで戦い抜くことを決定する。
仲間のスペイン兵がアステカ人により捕虜となり、ピラミッドで仲間が踊りを踊らされて、生贄として殺され、心臓を取り出され、手足を食われるのを目にして、いつか俺もそうなるかもと、戦いの前に小便を一、二度もらす恐怖に襲われた(戦いが始まると平気)と素直に書くカスティリョ。
そういえば、コルテスの配下の隊長たちの中では、ゴンサーロ・デ・サンドバールが、勇敢で、ピンチのときなどに、みんながんばれと部下をよく励ましていて、味方視点でみると、いいやつっぽかったです。アステカ征服戦が1519-1521で、生まれが1497、没が1528だから、30歳ほどで死んでしまうのか…。
また、アステカ滅亡、先住民の記録は当時起こった不吉な現象や予言などを書いていて、神様などの不思議なものを信じてたんだなあ…と思いましたが、一方のスペイン人は現代人に近い考えかと思いきや、カスティリョの本に聖母や聖人の目撃談とか載ってて神様大好きだし、あまり大差なかったりするんだろうか…などと思いました。

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【漫画】
商業誌の漫画でアステカ文明がとりあげられると、「邪神テスカトリポカが現代に復活してヒーローに倒される」みたいな扱いが多い気がします。
ざっと思い出して見ますと、素手でイケニエの心臓を取り出すアステカの神官の力を持った暗殺者が主人公の『ミキストリ 太陽の死神』(巻来功士)とか(作中でテスカトリポカ様が復活します)、『スプリガン』とか『孔雀王』あたりでテスカ様が復活していた記憶があります。
また、名作『ジョジョの奇妙な冒険』の冒頭が、いきなり、アステカの石仮面でした(ファンの方の、「テオティワカンの遺跡に実際にいって、アステカの石仮面をつけて写真をとる」という記事をネット上で読んだことがありますが、最高でした)。
マスクの額の古代アステカの秘宝「アステカの星」が登場する『プロレスの星 アステカイザー』は有名ですが、1996年、週刊少年チャンピオンにて、「無敵マスクマン伝説レボルシオン」(なかがわひろき作)という、アステカ人がスペイン人と戦った時に身につけたという伝説のケツァルコアトルのマスクをつけて戦うプロレスラー漫画…というのを見た記憶があります。
断片的には、仮面のダークヒーロー物『おもかげ幻舞』の1巻にテスカトリポカの仮面ネタがあったり、ホラー少女マンガの『妖獣の門』で、アステカではないですが、ミシュテカにタイムスリップする短編「ミシュテカの呪縛」が載ってました。
名作『サイボーグ009』にも、アステカ編がありました。
『翡翠峡奇譚』(ひすいきょうきたん)(広江礼威)という、ククルカンが出てきて、当然テスカ様もでてくるという漫画もあります(1935年のメキシコで、遺跡からよみがえったククルカン(女の子)と、日本人の男性キャラが、ナチスのおねえさん魔術師らと戦う)。
しかし、やはり、ガチな意味での「アステカ漫画」…。
「アステカ帝国が舞台で、滅亡の歴史流れを扱う」「コルテス、モンテスマ2世、クワウテモク、マリンチェがでてくる」と、いったら、やはり『貴人の大祭』です。

『風霊王外伝 貴人の大祭』あもい潤、角川書店、1992

本編の風霊王は、紀元前10000年、ムー帝国の、神である風の精霊王と人間の王女アライアが、太陽の力を盗もうとしたという濡れ衣をかけられて殺され、人間として20世紀の日本に生まれ変わって…という、時を超え転生する恋人たちを描く少女マンガ作品。
こちらの外伝は、風霊王(かぜおう)とアライアが、生まれ変わって1990年の日本で出会う前に、1519年、滅亡前のメキシコ・アステカ帝国に生まれ、恋に落ちていた…という位置づけの物語です。
私は初めて読んだとき、本編は未読でしたが、プロローグや山場などで、本編の内容がなんとなくわかるので、外伝だけでも楽しめました。

マヤのテワカン族のキアウィトル(=風霊王の生まれ変わり)は、故郷をアステカ帝国に滅ぼされ、捕虜となり、アステカの都へ連行される。彼はそこで、「暗黒の太陽」テスカトリポカ神の化身とみなされ、アステカの女奴隷ショチトル(=ムー帝国の王女アライアの生まれ変わり)と出会い、恋に落ちる。
しかし、時代は、激動のアステカ帝国滅亡前夜………。
スペイン人征服者コルテスが海のかなたからやって来て、キアウィトルとショチトルは、運命の流れに翻弄されます。

皇帝モテクソーマ2世、最後の皇帝クワウテモク、スペイン人征服者コルテス、コルテスに協力し裏切り者として名を残す女性マリンチェなど、史実の人物が登場。アステカ帝国滅亡の戦いの過程がじっくりと描かれます。
とりわけ、マリンチェがとても魅力的に描かれています。「キアウィトルと同じアステカに滅ぼされた部族の出身で、復讐のためにコルテスに愛と忠誠を尽くす」という設定の彼女。アステカとスペイン、二つの文化を親として、現在のメキシコが血と苦しみの果てに産まれたということが、彼女のラストシーンのセリフの中に、思い出されます。
また、捕虜の中から、完璧な美しい若者を一人選び、一年間テスカトリポカ神の化身として大切に扱い、神としての礼儀作法を教え、妻を与え、この世のあらゆる快楽を享受させたのちに生け贄にするというアステカの風習、トシュカトルの祭りのエピソードもしっかり入ります。
何より、主人公の山場のセリフ、「血と屍の上に築かれたものでもこの世界は美しい」は、生贄の風習があろうともアステカを愛する、すべてのアステカファンの心の叫びでしょう…。
巻末には、メキシコ旅行記つき。
アステカの描写については、太陽神ウィツィロポチトリが登場せず、暗黒太陽テスカトリポカになっているなど、フィクションとしてあえて本編での内容に合わせてある部分もあるようですが、基本的には歴史ベースです。
アステカファンにとっては、これを商業誌で…というあたり、奇跡の一冊です。

私が漫研の後輩からこういう作品があると聞いた90年代後半の時点で、すでに普通の本屋さんで入手不可能で、都会に住んでいた弟にまんだらけで探してもらったのですが、2014年7月現在、アマゾンに中古が数点出ていますので、アステカファンは在庫があるのを見たら、早く入手されることをおすすめします(絶版図書といえば、『聖王子ククルカン』なんて、電子書籍サイトで下巻を買ったら、買って半年でサイトがつぶれて読めなくなって、アマゾンで中古を探したら、値段がプレミアついて3万円超えてた、みたいな状況で、泣いたからな…。追記。2015年6月。再びアマゾン見たら、400円台で古本があったので、注文しました)。

できたら、古本ではなく、将来的に、再販か、電子書籍か、マンガ図書館Z(旧・Jコミ)など、望めば誰でも読める形で読まれつづけてほしい名作です。

ところで、この記事で、最初、あらすじで、主人公たちが「現代の日本に生まれ変わり…」と書いてましたが、作品が描かれ、主人公たちが出会う1990年は、すでにもう「現代」ではないんじゃないか…と気づいて愕然として、訂正しました…。
25年近くも前だああぁぁぁ!!(2014年現在)

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【小説】
アステカの滅亡を扱う、日本語でよめる歴史小説、といえば、私はこれしか知らないのですが、きっと、英語だと更に多くの作品が読めるのだろうなあ…。

『滅びの符合 太陽の帝国アステカの終焉』ジュマーク・ハイウォーター、ベネッセ、1991(日本語版)

スペインによるアステカの滅亡をアステカの視点より描いた歴史小説。
前半の華やかなアステカの繁栄と、後半の、悲惨な破壊と滅亡…。それが敗者アステカの視点で語られるので、読後はもう、泣くしかないのですが、アステカの時代の風を感じるにはたまらん一冊です。
物語は、アステカの敵国トラスカラの出身で、やけどがあって醜く、貧しく、誰からも虐げられた木こり「ナナウツィン」が、アステカのモクテスマ王に出会い、王の代弁者となる(王は神聖なので相手に対して直接話さず、間に人を通すらしい)。
初めて読んだときはアステカの滅亡の描写に暗い気持ちになっていましたが、2015年、十数年ぶりに再読すると、ナナウツィン視点でのモクテスマ王の人物像がけっこうツボでした。
王らしい威厳に満ち、政治的に冷酷にもなれるアステカの王モクテスマ。
しかし、不吉な予言におびえ、1519年、スペイン人征服者コルテスらがやってくると、幼子のように気弱な顔を見せるようになる。やがてスペイン人らによって幽閉され、自国民は戦わないモクテスマ王に愛想をつかして王の弟を王様とし、モクテスマ王には石を投げてくる…、そんな強くて弱い複雑な王をいとおしく見るようになる、ナナウツィンの視点がかなり切ないです。威厳ある王と虐げられた木こり、しかし王は幽閉され、木こりはやがて知性と愛を備えて賢者となり、関係がかわる、あのあたりもいいです。
アステカの繁栄も滅亡も、文章が、美しかったな…。

昔のライトノベルでは、『アステカの赤い突風 太陽の娘たち』(田中文雄、集英社ファンタジー文庫、1992)という、現代メキシコが舞台の冒険ファンタジー小説を知っています。
OLの千尋と典子の二人が会社の福引でメキシコ旅行があたってメキシコに行くが、千尋はアステカにタイムスリップ、ケツァルコアトルの化身とみなされてしまう。現代の悪の組織として、テスカトリポカ様を崇拝する宗教団体が出てきます。山場で、典子が、「軍神ポカなんとかなんて、単なるスケベ親父じゃない!」というタンカを切ります。永遠の美青年の神をつかまえて、「スケベ」はともかく「親父」は違うでしょう…。

また、同じくライトノベルで、『FIGHTER』(吉田直、角川スニーカー文庫、1998)は、死んだ新撰組が甦って戦うSFですが(沖田総司がいいキャラです)、悪の金髪メガネスーツ美女テスカトリポカが活躍します。
時は明治10年。謎の悪の美女《テスカトリポカ》は世を混乱させようと企み、死んだ新撰組の隊士を、《死の騎士》として甦がえらせる。
沖田総司は、他の隊士とともに甦り、記憶を無くして操られていたが、英国貴族の少女ミリアムと再会した事がきっかけで記憶を取り戻し、ミリアムをめぐって、彼女を守るために、同じく《死の騎士》として甦った土方歳三と宿命の対決をする……。SFアクション小説。
「なんで、新撰組とテスカトリポカ?(←アステカの闇の神の名前です)」と思いつつ読みましたが……。良かった…。とにかく、沖田総司が良かったです。強くて、哀しいほど優しくて、壮絶でせつない…。優しい笑顔と口調、背負う哀しみ。過去のトラウマのエピソードも良し。「僕は死人だから」とヒロインに言うシーンや、明治政府の人間に、化け物よばわりされるシーン…。ラストの方のシーンなんて、泣くぜ、もう…。
英国貴族のヒロイン、ミリアムもお転婆で、タフです。ヒロインにしては過酷な負傷をしますが、それでもへこたれません。言動も気持ちがいいです(笑えた)。
ストーリーは、「これってクライマックス?」と何度か勘違いしてしまったほど、派手な山場が多いです。
当初、グーグルで「テスカトリポカ」という単語で検索しているときにこの本を発見して、「アステカ神話テスカトリポカ」コミュで、ネタになるかな…などという不純な動機で注文して読んだのですが(こんな読み方したのは私ぐらいだろう…)、面白かった…。
ちなみに、作品の中には、《テスカトリポカ》の敵で、《ケツァルコアトル》も登場します。これまたアステカの神様の名前ですが、詳しい正体は読んでのお楽しみ。主人公たちの戦う裏で、かなりスケールのでっかい戦いが、物語の背景にあります。
個人的には、「燃えよ剣」より萌えました。

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【CD】
クスコの『インカ幻想』(邦題)が、タイトルがインカなのに、「モンテスマ王の悲劇」「文化神ケツァルコアトル」「マヤ神殿」「トゥーラ」など、中央アメリカっぽい曲がはいっています。インカ要素はゼロです。
あと、本なのですが、『月のうさぎ』(アルフレド・ロペス=アウスティン、文化科学高等研究院、1993)に、付録に8センチCDがついていて、「アステカの言語ナワトル語によるアステカのなぞなぞと現代詩の朗読」「アステカやマヤの楽器を使った現代音楽2曲」が入っていて、面白かったです。

そして、ユーチューブで見つけたアステカ系の曲を…。
ジェイムズ・バーンズ「アステカの情景」Escenas de los Aztecas


アステカの詩を扱った本、青土社の『アステカのうた』。その訳詩のいくつかが、合唱曲に。

こちらはアステカ時代の大御所詩人テスココ王ネサワルコヨトルの名詩。これは素敵。
「絵画(え)の家で歌が始まる、歌の稽古だ、花が撒かれる、歌が高まる」(『アステカのうた』より)
2014年現在、アマゾンでCDが買えたので、買っちゃいましたよ…。

また、フェレーロの「ラ・ヌエバ・エスパーニャ」というコルテスによるアステカ滅亡を扱ったクラシック系の音楽を、アマゾンで買いました(2016年)。タイトルで検索してみてくださいませ。

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